No.2003-11
2003年11月10日発行
目  次
Ⅰ 国内外トピックス
  1 国際電気標準会議(IEC/TC47)報告等
  2 新聞記事
Ⅱ マイクロマシンセンターの動き
  1 第2回MEMS産業化共同調査研究委員会の開催
  2 第2回国際・交流委員会の開催
  3 第2回調査研究委員会の開催
  4 第28回標準化委員会の開催
  5 第9回国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウムの開催日せまる
Ⅲ 行政動向
  1 文部科学省・科学研究費補助金の民間開放について
  2 国家公務員の倫理保持のためのルールについて
Ⅳ 外部団体情報
  1 ナノビジネス推進協議会の発足
Ⅴ イベント案内
  1 当センター主催のイベント
  2 その他のイベントのお知らせ
Ⅵ その他会員への情報
  1 創立記念日のお知らせ
  2 MMCのパンフレット(改訂版)ができあがる
  3 センターの人事異動


本  文
Ⅰ 国内外トピックス

1 国際電気標準会議(IEC/TC47)報告等

 10月27日から28日にかけてオランダのデルフトにて開催されたIEC(国際電気標準会議)/TC47(第47技術委員会)に出席して、現在国際標準化提案を行っているマイクロマシン/MEMS専門用語と平成11年から13年にかけて実施した基準創成研究開発事業の成果を国際標準化提案した「薄膜材料の引張試験法」ならびにその「標準試験片」に関する審議に立ち会うと共に、今年度よりスタートしたエネルギー使用合理化システム標準化調査研究により実施する薄膜材料の疲労試験についてその計画を報告して国際的な協力の要請を行った。
 既に本財団より平成14年7月に提案し、現在CD(Committee Draft)の段階にある「マイクロマシン/MEMS専門用語」については、韓国、中国から出されているコメントについて審議を行い本専門用語はCDV(Committee Draft for Vote)とする。但しFDIS(Final Draft for Vote)に際してはメンテナンスの時期を明確にする事が求められた。
 薄膜材料の引張試験に関する2件の標準化提案は今年7月に国際提案を行ったもので10月10日にNP(New Proposal)になったばかりであるが、英文表現について英、米からのコメントがあったものの、問題の本質に係わることでは無いことからこれの受け入れを表明することで、基本的課題が無くなったことから次の段階のCDに進むことが承認された。何れも1段階前進する事が出来た。
 10月29日にはウイーン大学のProf. B Weiss先生を訪問して薄膜材料の機械的試験に関する独創的な研究について調査を行った。すなわち薄膜材料等の平面にコヒーレントな光を当てると、その反射光は薄膜材料の結晶配行に従って偏光性が変わる。通常、材料にはミクロンオーダの結晶粒界があり、粒界毎に偏光性が変わるため粒界と粒界の境界では光の変更状態が急激に変化することから粒界を見ることが出来る。ウイーン大学ではこの現象により現れるミクロな模様を試験片の標点に使うことで、標点作りを行わずそのままの状態で試験片の変形を計測する方法を開発している。
 標点には通常、材料の特性を変化させない柔らかな材料、すなわち有機材料等を用いるが標点のダレや高温時の変形などに問題が生じる場合があるが、本方法を用いることにより、原理的にこれらの問題が極めてクリアーに解決する。
 実際には、境界の模様を画像認識するためのFFT処理や、レーザ光にアライメント微妙な問題が有るとの事ではあるが、薄膜材料等の微小材料の特性計測評価に関して極めて応用範囲の広い研究と考えられた。
                               

2 新聞記事 

10月10日 日経産業新聞
  極細径の内視鏡発売:すい臓がんなどの診断用;オリンパス

 オリンパス光学工業はすい臓や胆のうに通じる管の検査向けに、極細径の内視鏡を15日に発売する。先端径は消化器内部をモニター画面で診る内視鏡では世界で最も細い2.6ミリメートル、超小型電荷結合素子(CCD)を搭載。内視鏡の先端から突き出た処置具を使って体内の組織採取が可能な機種も用意した。これにより、早期すい臓がんやすい胆管疾患の確定診断の精度が高まる。

10月15日 日刊工業新聞
  簡単に遺伝子診断:マイクロリアクター使用 検体と試薬で分析;産総研

 産業技術総合研究所のマイクロ空間化学研究ラボは、マイクロリアクター(微小反応装置)を使った臨床用遺伝子診断法を開発した。検体と検査試薬を100マイクロメートルレベルの回路に同時に流し込んで分析、簡単に診断できるのが特徴。検査試薬に蛍光色素を含ませておき、顕微鏡で反応の有無や状況を確認することができる。マイクロリアクターによる診断法は、がんや生活習慣病の危険性の判断、白血病の型の判定、感染症の診断など特定の目的に応じた回路や検査試薬を用いて簡単に素早く結果を知ろうという発想から生まれた。

10月22日 日刊工業新聞
  超小型デバイス事業拡大 5倍の100億円規模に:立体電気回路レーザー描画 光モジュールに応用;松下電工

 松下電工は、射出成型された基板表面に立体的で微細な電気回路をレーザーで描画する独自技術「MIPTEC(ミプテック)」を使った超小型デバイス事業を拡大する。同社はすでに微細加工の微小電気機械システム(MEMS)技術を確立しており、この独自技術を融合して超小型デバイスを作り出す。06年度(05年12月~06年11月)には同事業を現在の5倍に当たる100億円規模に育成して行く。同社は現在、米デルフォイ社と車載LAN用の光送受信モジュールを共同開発。光伝送規格IrDA対応モジュールの試験開発も独自に行っている。商品化を計画しているのは、光通信モジュール内の光学局面を持つ反射板。また、放熱性が高く高周波特性のあるセラミックス素材の立体回路基板の量産実用化も進めている。

10月23日 日刊工業新聞
  生体内の酵素反応再現:マイクロリアクター 有機合成簡単に実現;産総研

 産業技術総合研究所のマイクロ空間化学研究ラボは、細胞や臓器など生体内で起こる多段階の酵素反応を一つのマイクロリアクター(微小反応装置)内で再現することに成功した。従来実現が難しかった複雑な有機合成が簡単にできる可能性があり、糖を原料にした薬剤の合成などにも利用できるという。成功したのは、三つの酵素反応を組み合わせてクエン酸を最終的にL-乳酸にするというもの。生体反応は環境負荷が少ない反応として見直されており、今回の多段階反応装置を応用してホルモンの合成や退社も再現可能としている。この成果は11月18日から早稲田大学で開かれる第8回化学とマイクロ・ナノシステム研究会で発表する。

10月30日 日刊工業新聞
  「鏡筒」親指サイズ 走査型電子顕微鏡を試作:解像度、数十ナノメートル;東大・堀場製作など

 東京大学の奥村勝弥教授、三好元介教授、堀場製作所、アルバック(神奈川県茅ヶ崎市)などのグループは電子線の絞りや照射方向を制御する「鏡筒」部分が親指サイズの走査型電子顕微鏡(SEM)を試作し、数十ナノメートルの解像度で資料を観察することに成功した。当面は解像度10ナノメートルを目標とし、最終的には解像度3ナノメートル程度を目指す。鏡筒を親指サイズばで小型化できた理由について、奥村教授はマイクロマシン技術の活用を挙げた、30、31の両日に東京・虎ノ門のホテルオークラで開かれる「先端研フォーラム」に試作したSEMを展示する。

10月31日 日経産業新聞
  100ギガビット通信可能な変調器:都市間の基幹光通信用素子 新構造で速度上げる;NTT

 NTTフォトニクス研究所は次世代の超高速光通信用素子を開発した。半導体レーザーから出る光を超高速で点滅させ光信号を発生させる光変調器に新構造を採用。具体的には光変調器の側面から電圧をかけて光信号を送り、光導波路で半導体レーザーからの光と電気信号が合流する仕組みにして、光信号を発生させる。これにより高周波の光信号を送り出すことが可能になったという。

Ⅱ マイクロマシンセンターの動き

1 第2回MEMS産業化共同調査研究委員会の開催

 平成15年度第2回MEMS産業化共同調査研究委員会(委員長:オリンパス株式会社 太田 亮グループリーダ)が10月10日(金)に開催されました。
 今回は3ヶ年基本計画に関して、特にMEMS産業の活性化につながる、ユーザとメーカの接点の構築と、ファンドリー間で形成するネットワークのルール化についての調査研究を重点的に推進することが確認されました。

2 第2回国際・交流委員会の開催

 平成15年度第2回国際・交流委員会(委員長 中島尚正 放送大学教授)が10月16日(木)に開催されました。この中では、5月29日に開催した第1回国際・交流委員会以降の国際交流および国内の産学官の交流活動について報告を行い、その報告内容は次項目でした。
 ・第9回国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウム開催準備
 ・第9回マイクロマシンサミットのフランスでの開催準備状況
 ・ファンドリーサービス産業委員会の活動
 ・技術交流会開催(案)について
 ・Transducers 03‘出張報告
 ・MEMS欧州調査報告
 ・アメリカの最近のMEMS動向調査報告

3 第2回調査研究委員会の開催

 平成15年度第2回調査研究委員会(委員長:東京大学 藤田博之教授)が10月16日(木)に開催されました。
今回は、第1回本委員会後に委員会設置された「MEMS関連市場と日本の競争力分析に関する事業」と「MEMS産業化共同調査研究推進に関する調査研究事業」についての事業計画の説明と、すでに着手している「長期ビジョン」、「国内外技術調査事業」、「新機能性材料のNEMSへの展開に関する調査研究事業」、「マイクロ分析・生産システムに関わる再委託事業」についての本年度上期の進捗状況報告が行われました。

4 第28回標準化委員会の開催

 平成15年度第28回標準化委員会(委員長:東京大学 佐藤壽芳名誉教授)が10月22日(水)に開催されました。
今回の委員会では、専門用語部会の活動として、マイクロマシン/MEMS関連用語を昨年7月IEC/TC47に規格提案し、NPを通過して現在CDの段階で、10月27日から開催されるTC47/WG4会議において、中、韓からのコメント等を付加した案について審議が為される予定との報告がありました。また材料特性標準化委員会活動として、平成13年度に終了したNEDO事業の成果を引き継いだ「薄膜材料の引張試験法」は、IEC/TC47に7月、2件のNP提案を行い、10月開催のIEC/TC47会議で採択の審議がなされるので大和田委員を派遣するとの報告がなされ、承認されました。また「薄膜材料の疲労試験」は6月METIに事業提案を行い、10月8日付けにて契約された旨報告がありました。事業名は「マイクロ・ナノ材料の疲労試験に関する標準化」で、平成15年度から3ヶ年の事業となります。

5 第9回国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウムの開催日せまる 

 第9回国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウムの開催日、11月13日(木)が、いよいよ迫ってまいりました。準備の都合上10月末日をもって受け付けを締め切りましたが、まだ席に余裕がありますので、当日の入場受付も行います。 またプログラムには、普段聞く機会のない優れた講演がギッシリと詰まっておりますので是非ご参加下さい。最近の実績では参加者の約85パーセントが企業のR & D関係者です。 R & Dの新しいSeedsを探す良い機会として、特に賛助会員の皆様のご参加をお待ちしております。

Ⅲ 行政動向

1 文部科学省・科学研究費補助金の民間開放について

文部科学省および日本学術研究会で実施しております「科学研究費補助金制度」(通称「科研費」)が、9月に制度改正が行われ企業の研究者の方についても応募資格が拡大されることとなりました。
 経済産業省産業技術環境局研究開発課では文部科学省学術研究助成課と連携して、本改正につきまして経済産業省ホームページに掲載すると同時に、各工業会等の業界団体を通して、民間企業の方々へ幅広くご案内しております。
 なお、当センターでは賛助会員の方々には連絡窓口担当者を通して既にご案内いたしておりますが、詳細につきましては、下記のホームページに掲載されております。
 ・経済産業省ホームページの掲載先
     http://www.meti.go.jp/policy/kenkyu_kaitatu/
 ・文部科学省科学研究費補助金ホームページの掲載先
     http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/index.htm


2 国家公務員の倫理保持のためのルールについて

 国家公務員倫理審議会では12月1日~7日の一週間を「国家公務員倫理週間」として、公務員倫理の保持のために様々な啓蒙活動を行っております。この週間を挟む10月1日~12月31日の間、公務員倫理や倫理法・倫理規程に関する国民の皆様からのご意見を伺っております。
 あて先は電子メールまたは電話でお願いします。
  ・電子メール受付(タイトルに「意見」と明記
     rinrimail@jinji.go.jp
  ・倫理審査会のホームページ
     http://www.jinji.go.jp/rinri
  ・国家公務員倫理審査会事務局
      電話 03-3581-5344

Ⅳ 外部団体情報

1 ナノテクビジネス推進協議会の発足 

 任意団体「ナノテクビジネス推進協議会」の設立理事会が10月15日(水)に開催された。主な活動内容は(1)市場・産業・製品ロードマップの作成、(2)製品化・事業化を目指した連携プロジェクト立ち上げのための支援、(3)フォーラムや展示会を通じた会員への情報提供の三つを、ナノテクノロジーの実用化において従来の産業や企業の枠組みを超えた活動が必要との認識で発足した。

Ⅴ イベント案内

1 当センター主催のイベント

 ・詳細は当センター調査研究部にお問い合わせ下さい。Tel : 03-5835-1870

(1) 第14回マイクロマシン展
 開 催 日: 平成15年11月12日(水)~14日(金)
 開催場所: 科学技術館・東京北の丸公園
 主  催: (財)マイクロマシンセンター他

(2) 第9回国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウムの開催
 開 催 日: 平成15年11月13日(木)9:30~18:00
 開催場所: 科学技術館(東京都千代田区北の丸公園2番1号)
 主  催: (財)マイクロマシンセンター


2 その他のイベントのお知らせ

 ・ 詳細は当センター調査研究部にお問い合わせ下さい。Tel : 03-5835-1870
 ・ 番号上にNew の表示のあるイベントは、今回新規掲載分。
 
(1) 2003国際ロボット展 (P6A3204)
 開 催 日: 2003年11月19日(水) ~ 22日(土)
 開催場所: 東京ビックサイト・有明
 主  催: (社)日本ロボット工業会、日刊工業新聞社
 情報入手: http://www.nikkan.co.jp/eve/03robot/index.html
 (財)マイクロマシンセンター 協賛

New
(2) SEMICON Japan 2003 (Q7A3X01)
 開 催 日: 2003年12月03日(水) ~ 05日(金)
 開催場所: 幕張メッセ(千葉)
 主  催: SEMI
 情報入手: http://www.semi.org/semiconjapan/

(3) Microelectronics, MEMS, and Nanotechnology (Q7A3703)
 開 催 日: 2003年12月10日(水) ~ 12日(金)
 開催場所: The University of Western Australia, Perth, Australia
 主  催: SPIE
 情報入手: http://spie.org/conferences/calls/03/au/

(4) MEMS 2004 (17th IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems) (Q7A3601)
 開 催 日: 2004年01月25日(日) ~ 29日(木)
 開催場所: Maastricht, The Netherlands
 主  催: IEEE
 情報入手: http://www.mems2004.org

New
(5) 第13回インテリジェント材料システムシンポジウム (P6A3X01)
 開 催 日: 2004年03月08日(月)
 開催場所: 化学会館(東京千代田区神田駿河台)
 主  催: (社)未踏科学技術協会 インテリジェント材料システムフォーラム
 情報入手: http:www.sntt.or.jp
 (財)マイクロマシンセンター 協賛

(6) HANNOVER MESSE (ハノーバー・メッセ国際産業技術見本市) (Q7A3702)
 開 催 日: 2004年04月19日(月) ~ 24日(土)
 開催場所: Hannover Messe, Germany
 主  催: Deutsche Messe AG
 情報入手: http://www.hannovermesse.co.jp/
 http://www.hannovermesse.de/

Ⅵ その他会員への情報

1 創立記念日のお知らせ
 本年のマイクロマシンセンターの創立記念日は11月21日(金)となります。当日は休日とするため、事務所は留守になりますので、お知らせ致します。


2 MMCのパンフレット(改訂版)ができあがる
 MMCパンフレットの一部改訂を行って来ましたが、この度完成しました。改訂版パンフレットは最新の調査研究内容に更新するとともに、青柳専務理事の新任に伴うセンター概要の最新化見直し、委員会構成及び賛助会員の追加・削除等を盛り込み改訂しました。改訂版パンフレットは近々、賛助会員企業に配布する予定です。なお、マイクロマシンの普及・啓発の目的に必要とされる場合には、センターまで必要部数をご請求下さい。



3 センターの人事異動
 
   平成15年10月31日付
 
     昆野 舜夫   辞職(株式会社 東芝 へ復帰)
 

財団法人マイクロマシンセンター  サイトマップ  センターアクセス  お 問 合 せ 
Copyright (c) Micromachine Center. All rights reserved.