MMC-MIF-BEANS Monthly

[No.2010-05] 2010年5月14日発行


ニ ュ ー ス 目 次  

    1 ハノーバーメッセ2010 に出展
    2 第16 回マイクロマシンサミット開催
    3 産業動向調査まとまる
    4 内外技術動向調査まとまる
    5 標準化研究開発の進展
    6 産総研集積マイクロシステム研究センター発足


    1 マイクロナノ2010の開催案内(2010年7月28日~30日)
    2 MEMSアフリエート関係のイベント


    
1 経済・政策動向トピック


    1 人事異動
    2 マイクロマシンセンター理事会・評議委員会の開催
 
    
  
ニ ュ ー ス 本 文

  

1 ハノーバーメッセ2010 に出展

 ドイツ ハノーバーにて2010年4月19-23日で開催されたハノーバーメッセ2010にマイクロマシンセンター(MMC)/BEANS研究所(BEANS)として出展、参加しました。
 ハノーバーメッセは、自動車やファクトリーオートメーション、エネルギーからマイクロナノまで、幅広い産業をカバーする見本市で、6,000社の出展者、20万人規模の来場者となる大規模なものです。我々は、MEMS協議会の海外アフィリエートであるiVAMがオーガナイザーとなっているMicroNanoTechゾーンにブースを設けました。ブースには、MMC/MIF会員企業であるオムロン、パナソニック電工、オリンパスの技術や、総合イベントMicroNano2010の概要、BEANSの研究成果を紹介するパネルを貼り出し、パンフレットなども準備してプロモーション、交流に努めました。
 今年のハノーバーメッセは、昨年比2-3割の来場者減ということです。不景気によって落ち込んだということですので、非常に残念な状況でした。今年については、景気回復の途上にあり期待されたのですが、アイスランドの火山噴火が悪影響したものと見られています。来場者の3割近くがアジアとアメリカからということですから、航空ストップがそのまま影響したと言えます。MMCも1週間の開催期間中、最後の2日間だけの参加となり、また、講演を予定していたBEANSの研究者は航空チケットが取れなかったために参加自体を断念せざるを得ませんでした。中国や台湾の企業のブースは無人となるなど、担当者が来られないところもあったようです。数字の上では厳しい状況ですが、しかし全体の印象としては、技術革新テーマが多く揃えられ、その影響を感じさせない人出とにぎやかさでした。
 今年のMMC/BEANSブースは、面積15㎡で、ミーティングが気軽にでき、また講演者が交代で休めるようにテーブルや椅子を多めに置いた、比較的余裕のあるものでした。しかし、上述したように予定していたほぼ全員が参加できず、担当者一人がブースにいる状態で、かえってがらんとした印象を与えたかもしれません。
 iVAM代表のKleinkes氏がiVAM会員企業を何人か紹介してくれたこともあって、当方の狙いであるマイクロナノ2010を中心とするMIF活動の紹介ができました。ただ、結局講演ができなかったために、少なからぬ聴衆に直接宣伝する機会が持てなかったのは残念でした。全体として、予期せぬ自然災害に見舞われて大きな影響を受けたため、当初の計画からは程遠い実績となりましたが、最大限のリカバーをしたと判断します。
 最後に、MMC担当者がフライトストップの影響で行けなかった期間(設営のための1日を含め、4日間)は、たまたま足止めされていたパナソニック電工の皆様が自発的にブース準備、運営をしてくださいました。また、初日のMMCが行うはずだった日本のMEMS市場に関する基調講演のピンチヒッターとして、パナソニック電工の紹介講演をしていただきました。ここに記して感謝申し上げます。

ハノーバーメッセ会場 MMC/BEANSブース
講演会場 講演風景(パナソニック電工 岡本氏)

2 第16 回マイクロマシンサミット開催

  ドイツ ドルトムントにて2010年4月26-30日、第16回マイクロマシンサミット(Micromachine Summit2010)が開催されました。今回、日本としては、MEMS協議会国際交流委員会委員長の下山東大教授をはじめ、産総研、企業から成る代表団を組織しましたが、残念ながらアイスランドの火山爆発による航空混乱のため、ハノーバーメッセ出展ですでにドイツに滞在していたMMC担当者以外の方々は参加断念の判断となりました。
 マイクロマシンサミットは、年に1回、各国・地域の代表団が集まり、マイクロマシン/マイクロナノテクノロジーに関する課題などについて意見交換する場です。通常の学会と異なるのは、各国・地域が代表団を組織して集まるというところであり、質の高い、まとまった講演と影響力のある人々と意見交換できることが特徴となっています。
 今回のマイクロマシンサミットは、ドイツを拠点とする国際的なマイクロナノテクに関する企業、研究所の会員組織であるiVAMがオーガナイザーとして企画・準備されました。参加は、ヨーロッパ、アジア、北米から17の代表団(国数としては20)、88名でした。回復基調とは言っても未だはっきりとしない経済状況、さらにアイスランドの火山爆発など、ネガティブな環境もありながら、予定に近い代表団が集まり、貴重な意見交換がされた今回のサミットは、全体として成功であったと思います。

<テクニカルツアー>(4月26日~28日)
全体会議に先立ち、テクニカルツアーとして、以下のような企業、研究所を訪問しました。
・Bosch:新規に導入されたMEMS 8インチライン
オペレーションスペースはクラス1で装置背面はクラス100、約4,500㎡、既存の6インチラインと同じコンセプトで設計されている。現在のところ、半分ほどのスペースを装置が埋めており、全体で600Mユーロの投資を計画している。8インチラインの方は、全てMEMSというわけではなく、BiCMOS+MEMS用ラインであり、ASICにMEMSセンサーなどをオンチップで実現できる、という位置づけになる。主に生産用として使用されており、24時間、3シフト稼働である。

・カールスルーエ研究所:LIGA他の研究施設見学
Karlsruhe Nano Micro FacilityのヘッドであるVolker Saile教授の案内で研究所の概要やトピックについて説明を受け、所内各施設を見学した。負の屈折率になるナノ構造やX線顕微鏡などの説明や放射光露光施設ANKAの見学などである。

・Micro Parts:ヘルスケア関連応用の成功例
Boehringer Ingelheim(ベーリンガー・インゲルハイム)に2004年に買収された会社で、主にヘルスケア応用のMEMS部品・モジュールを製品化、生産している。6インチのクリーンルームや射出成形機、自動組み立て装置を揃えており、マイクロ分光器や噴霧器を製品化している。

・MST Factory:マイクロナノ関連ベンチャーのインキュベーション
石炭や鉄鋼産業が隆盛だったドルトムントがそれらに代わる産業として注目したのがマイクロナノテクノロジーであり、ベンチャー会社を育成するための組織がMST Factoryである。ドイツで最近多くの資金を集めているクラスターのひとつとして、クリーンルームを備え、さらに入居するベンチャーの要望を聞きながら実験設備まで用意して、リスクの高い初期投資を肩代わりするようなスキームとなっている。ベンチャーが製品プロトタイピングに成功し、さらにビジネス拡大を図るフェーズになると出ていくことになる。成功例も出始めており、参考になるスキームと思われる。

<マイクロマシンサミット全体会議>(4月29日~30日)
今回のテーマは、
・MEMS and NEMS for the Life Sciences
・Ambient Assisted Living for Aging Society
であり、各国からのCountry Reviewも含めて45の講演がありました。テーマの背景としては、日本と同様、高齢化の進む人口動態があります。
 詳しくは、後ほど公開予定の講演資料を参照していただきたいですが、全体としては、いずれの国も同じような領域、テーマに取り組んでおり、競争は厳しいと感じました。新規な情報をピックアップすると、以下のようなものがありました。
・中国は自身を巨大市場と捉えており、国内で5つのMicroNano Technology(MNT)研究センターがある。
・European Commissionとして取り組むプログラムに、ICTやロボットなどを含むFactories of the FutureやEnergy Efficient Buildingsがある。
・イベリア(スペイン+ポルトガル)の発表に、JSTのファンドを受けたジョイントプログラムがあった。
・カプセル内視鏡の研究開発に中国、イタリアが取り組んでいる。(以前は韓国も)
・韓国でベンチャー企業が育たない理由として、大企業を頂点とする産業構造のヒエラルキーがあり、日本も同様であろうと思われた。
・イギリスで科学技術予算が今年8%カットされた。
・米国では、科学技術ファンドの半分がヘルスケア向けで占められるようになった(以前は大半が防衛関係だった)。

<チーフデリゲートミーティング>4月30日昼食時
 各国・地域の団長が出席して、参加国に関する課題や次回開催地について議論しました。
今回はシンガポール、インド、ギリシャが不参加であり、経済状況や火山爆発の影響と思われます。経済成長の著しいブラジルを入れてはどうか、という意見が出て、次回はゲストとして呼び、その次にデリゲートとして相応しいか判断する、という段取りが確認されました。
次回はスイスとなりそうです。予算確保が確認でき次第、正式決定となり、具体的に動き出すことになります。次々回については、北米(カナダ+米国)、オーストラリア、台湾が開催を検討することとなっています。
全体の議論において、意思決定のルールが不明確な部分があり、Formal Secretaryが必要との意見が出されました。第1回から主導してきたマイクロマシンセンターに課された課題であり、どのような形で貢献するか、今後の検討が必要です。
ドルトムント石炭プラント跡 テクニカルツアー
全体会議

3 産業動向調査まとまる

 MEMS協議会 産業動向調査委員会では、昨年度に引き続き、MEMSがどのような機器(MEMS-Inside)にどのように利用されているか(MEMSアプリケーション)及びそのMEMS関連企業の状況を調査し、日本のMEMS産業拡大の課題と方策を21年度調査報告書としてまとめました。報告書の全体構成は、第1章 緒言、第2章 MEMSアプリケーション動向、第3章 MEMS関連企業動向、第4章 日本のMEMS産業拡大の課題から成ります。その中から、今月は第2章のMEMSアプリケーション動向の要約を紹介させて頂きます。

◆MEMSアプリケーション動向
 MEMSは、既に自動車のエアバックセンサ、プリンターヘッド、ゲーム機のコントローラ、デジタルカメラの手振れ防止などに代表されるような実用技術として多くの製品へ応用されており、今後も、MEMS/ナノテク機能の複合技術、MEMS/半導体の一体形成技術、MEMS/MEMSの高集積化技術の進展により、「図1」に示すように多様な産業分野・機器への応用が見込まれます。
とくに、医療・福祉分野についてはセンサMEMS、流体MEMS、バイオMEMSなどにより医療診断・検査・治療具などへの応用が図られ、また今後期待されるサービスロボット分野は、加速度センサなど量産化が進んでいる既存のデバイスを利用している製品、産業用ロボットなどの大口の採用を経て、MEMSがサービスロボットのデバイスとして応用されていくと思われます。
 来月は、第3章 MEMS関連企業動向の要約を紹介する予定です。


4 内外技術動向調査まとまる

マイクロマシンセンターでは、国内外の最新かつ詳細なマイクロマシン・MEMSそして近年活発化しているナノ関連の研究開発の情報を収集・分析し、その技術動向を把握することを目的に年に二つの国際会議を定点観測して、調査報告書にまとめています。H21年度は上期に隔年開催の"TRANSDUCERS 2009"を、下期に毎年開催の“MEMS2010”の調査を行いました。
"TRANSDUCERS 2009"は15回目の開催に当たり、アメリカ・デンバーにて2009年6月21~25日に開催されました。今回の参加者は28カ国 984名、論文投稿数は1,307件でした。発表は一般口頭発表216件、ポスター発表384件で、採択率は45.9%でした。国別発表件数は、米国が前回の56件から94件と1.7倍に激増し1位、日本は2位(43件)、3位には伸張著しい台湾(24件)が入りました。次いでドイツ、スイス、中国、オランダ、韓国と続きました。基礎分野ではActuatorsが一番多く、Packaging Technologiesが昨年から大幅に増えました。応用分野では、Mechanical Sensor が昨年より大幅に件数を増やしトップでした。
“MEMS2010”はIEEEのMEMS (Micro Electro Mechanical Systems) 技術に関する国際会議で、今回は23回目となります。2010年1月24~28日の日程で、香港で開催されました。参加者数は事前登録者563名で、昨年の事前登録者数501名を上回る結果となりました。一方、投稿件数は885件で、過去最高を記録しました。地域別ではアジアが425件と最も多く、全体の48%と約半分を占めました。しかし、採択件数は北米130件、採択率46%、アジア113件、採択率27%、欧州55件、採択率31%で、今回は北米の採択率が高くアジアの採択率が低いのが際立ちました。分野別では、Fabrication Technologies(non-Silicon)が69件で一番多く、続いて、Fluidicが58件、Mechanical Sensor45件の順でした。
報告書では、それぞれの会議の概要と、各論文を基礎分野、応用分野合わせて17~18の分野に分類し、注目すべき論文をトピックスとして紹介しています。


5 標準化研究開発の進展

 マイクロマシンセンターは経済産業省より受託してMEMSに関連した国際標準の研究開発を2テーマ進めています。両テーマとも、標準案はIEC/SC47F/WG1(微小電気機械システム)への提案を予定しています。

 「小型ジャイロMEMSデバイスの性能評価方法に関する標準化」事業は平成20年度より開始しており、2つの研究開発委員会(小型ジャイロ、電子コンパス)で国際標準の研究開発を行っています。
小型ジャイロMEMSデバイス(以下、「小型ジャイロ」という。)は、携帯電話のカメラ機能、ナビゲーション機能、自動車のエアバッグシステム、スタビリティコントロール、カーナビゲーションシステム等に利用が始まっており、今後ますます市場拡大が期待されています。しかし、性能評価の基準がないため、ユーザは製品開発で必要なジャイロの情報が入手できず、メーカは良い製品が市場において正当に評価されないという状況にあります。
 性能評価方法を明確化し、それによって得られた性能を表記することが一般化すると、開発・製造段階での従来の困難さが減少し、応用製品の高付加価値化、高性能化がより進展すると期待できます。
電子コンパスも、GPSが携帯電話の必須アイテムとなりつつあるのに伴い、それを生かした歩行者ナビゲーション等に需要が拡大していますが、その性能・特性を規定する標準がありません。我が国主導で電子コンパスの特性項目を標準化することにより、電子コンパスメーカとユーザの開発効率を向上させ、我が国の産業競争力強化に大きく寄与すると期待しています。
そこで本事業では、小型ジャイロの静的、動的な特性を明確化するとともに、必要な性能パラメータと測定法を決定し、小型ジャイロMEMSデバイスの性能評価方法に関する国際標準化案を作成しています。また、電子コンパスについても、三軸電子コンパス及び三軸加速度センサと合わせた六軸電子コンパスの特性と想定法の国際標準化案を作成しています。電子コンパスは平成22年度に、小型ジャイロは平成23年度にIEC提案を予定しています。

 「MEMSにおける形状計測法に関する標準化」事業は、今年度より活動を開始し、平成23年度までの3年間に亘り活動予定です。
 MEMS幾何形状は、他の電子デバイスとは異なり、長時間のウエットエッチングや深堀ドライエッチング(Deep-RIE)技術によって立体的3次元構造体が形成されています。しかしながら、順テーパや逆テーパがついたマイクロスケール断面や、高アスペクト構造を持つMEMSの底面・壁面粗さ等、MEMS構造に適した幾何形状計測法や表示法の標準化は、マイクロスケール寸法であるがゆえ確立されていません。MEMS3次元構造体における側壁形状、側壁の角度、アクペクト比といったMEMSデバイス特有の形状パラメータに対する計測は、光学顕微鏡をはじめとする簡便な測長に限られてきました。また、計測によって得られる形状パラメータの表示は、MEMSを設計・製作し、評価する上で必要不可欠であるものの、統一的な表示法は確立されていないのが現状です。これら計測法及び表示法に関する規格・標準化が進むことにより、MEMS製作段階での作業者間の意思疎通が図りやすくなり、効率的なMEMSデバイス開発の促進が期待されます。
そこで本事業では、3年間で、これらMEMSデバイスのマイクロスケール幾何形状の計測法、表示法を研究開発し、その標準の作成を目指します。具体的には計測対象とする立体的三次元構造の基準試験片を作成し、これを各種測定法により計測し、比較します。
基準とする計測法は、測長機能を有する電界放出型高分解能電子顕微鏡(FE-SEM)を利用した断面形状寸法計測とし、この測定結果をもって同構造体の形状寸法に関する基準データとします。FE-SEM観察は、高真空中での試料取り扱いなど簡便さに欠けるものの、広く普及している顕微鏡の中でも高分解能の観察と測長が可能であるため、基準データの抽出に利用しました。基準試験片内に作り込まれた溝やピッチパターンなどの各種測定対象を、光学顕微鏡、レーザー顕微鏡、白色干渉計、触針式計測器等の各種測定法により計測し、基準データと比較検討を行っています。この結果より、構造やスケールに適した測定法を選定します。さらに、構造やスケールに応じた形状計測の表示法を整備することを予定しています。

6 産総研集積マイクロシステム研究センター発足

 この4月1日より産業技術綜合研究所つくば東事業所に「集積マイクロシステム研究センター(略称:UMEMSME)」が発足することとなりました。もともと、先進製造プロセス研究部門の中のMEMS関連研究チームが、つくばイノベーションアリーナ(TIA)のMEMS研究として、最先端研究支援プログラム「マイクロシステム融合研究」と、異分野融合型次世代デバイス製造技術開発のマクロBEANSセンターに加えて新たに「高機能センサネットシステムと低環境負荷型プロセス開発:Gデバイス」という3つの研究開発拠点となることに合わせて、センター組織として集中して取り組める形態となったものです。センター長は上席研究員の前田龍太郎氏が就任、ネットワークMEMS研究チーム、大規模インテグレーション研究チーム、グリーンナノデバイス研究チーム、ヘテロ融合研究チーム、といった四つの研究チームから構成されます。BEANS研究組合としても、従来のマクロBEANSとGデバイスという2つの研究課題で緊密に連携する体制を取っており、新たに約140㎡のGデバイスセンターのオフィススペースを隣接して確保しています。
研究センターとしては、人材育成活動にも注力しており、つくばナノテク拠点(TIA)における大学との連携活動として、第1回TIA-UMEMSME- Inter UniversityNetworkingと内部の組織キックオフを兼ねました集いを以下の通り開催しました。

日時:平成22年4月15日(木曜日)
場所:産業技術総合研究所 つくば東事業所 多目的室
司会:前田龍太郎 集積マイクロシステム研究センター長
1. 開会挨拶:産総研 担当理事
2. 来賓あいさつおよびTIA活動紹介 経済産業省関連部局
3. 各研究チーム長より研究紹介および討論
1)伊藤(副センター長兼ネットワークMEMS研究チーム長)
2)高木(大規模インテグレーション研究チーム長)
3)廣島(グリーンナノデバイス研究チーム長)
4)松本(ヘテロ融合研究チーム長)
 来賓として、経済産業省 産業技術環境局 研究開発課矢野様より、本研究センターへの熱い思いをご挨拶として述べられたあと、各研究チーム長より、研究内容の紹介が行われました。今回の参加者は、Inter UniversityNetworkingという狙いもあり、茨城大学、東京理科大学、芝浦工大などの近隣大学の関連研究室から多数の学生の参加があり、従来に無く若いエネルギーに満たされた集いとなりました。
終了後の研究室見学会や、そのあとの懇親会も若い熱気に溢れたものとなりました。前田センター長の人柄が出た自由闊達な雰囲気でコミュニケーションが図れる場となっていました。
 特にGデバイス開発では、最先端8インチMEMSラインを導入し、大規模インテグレーションにも対応でき、さらに低環境型に向けた挑戦を行っていくことになりますが、われわれBEANS研究所も緊密に連携をとり、充分に議論を交わせてその成果を、高度なものとして行こうとしております。8インチラインは、研究試作ラインとしてわが国のMEMS研究開発の拠点として将来活用できるものとする狙いもあります。今後の、取り組みにご期待下さい。



1 マイクロナノ2010の開催案内(7月28日~30日)

 マイクロナノテクノロジーの総合イベント・マイクロナノ2010を、7月28日~30日、東京ビッグサイトにて開催いたします。今回は従来のマイクロマシン/MEMS展に加え、市場拡大が期待されるサービスロボットに関する製造技術展:ROBOTECHを新規に同時開催する予定です。シンポジウムなどの同時開催プログラムの中身もかなり具体化してきました。魅力的な多くの講演会への参加も含めて、ご来場をよろしくお願いいたします。
<開催概要>
 1 第21回マイクロマシン/MEMS展
   ・2010年7月28日(水)~30日(金) 東京ビッグサイト 東ホール
 2 同時開催展
   ・ROBOTECH 次世代ロボット製造技術展
・SURTECH(社)表面技術協会主催 表面処理技術を中心とする日本唯一の展示会
 3 同時開催カンファレンス
   ・第16回国際マイクロマシン・ナノテクシンポジウム
   ・MEMS実装・パッケージングフォーラム
   ・日独マイクロナノ・ビジネスフォーラム
   ・BEANSプロジェクトセミナー
   ・つくばイノベーションアリーナNMEMSシンポジウム
   ・MEMS協議会(MIF)フォーラム
   ・MEMS協議会産学連携ワークショップ
 詳細は、http://www.micromachine.jp/にてご確認ください。

2 MEMSアフリエート関係のイベント

<マイクロシステム融合研究会 (第1回)>
日時 :5月14日(金)13:30-17:00
研究会場所 : 東北大学 工学研究科 機械・知能系共同棟 6F会議室
http://www.eng.tohoku.ac.jp/map/?menu=campus&area=a01&build=15 のA-15の建物
主催 東北大学マイクロシステム融合研究開発センター、MEMSパークコンソーシアム
無料、当日直接参加可
問合先 : 東北大学 江刺・田中研究室 大賀理佐
Tel.022-795-6936, Fax 022-795-6935、E-mail oga@mems.mech.tohoku.ac.jp

<次世代センサ協議会 第58回研究会>
「東京大学駒場リサーチキャンパス公開見学と研究会 -エネルギー・温熱環境
計測とBEANSナノ立体構造・ナノ加工およびバイオセンシングへの応用-」
日 時:2010年6月4日[金] 10:00~12:00
場 所:東京大学 生産技術研究所 (東京・駒場)
参加費:主催会員/3,000円 協賛会員/5,000円 一般/10,000円
詳細・申込み:http://www.cnt-inc.co.jp/jisedai/rd58.htm

<MINATEC CROSSROAD’10>
LETIなどを含む研究所MINATECのアニュアルレビューと講演会
日時:2010年6月21~24日
場所:フランス グルノーブル MINATECキャンパス
詳細:http://www.minatec-crossroads.com

<「MEMS集中講義 in つくば」>
講師:江刺正喜、羽根一博、小野崇人、田中秀治、芳賀洋一、戸津健太郎、小切間正彦、前田龍太郎他
日時 :8/5(木), 6(金), 7(土) 9:30(初日10:00)~18:00 (2日目 交流会~18:00)
場所 : 産総研 つくば中央の共用講堂 (つくば市東1-1-1)
主催 : 東北大学マイクロ・ナノセンター、MEMSパークコンソーシアム、産総研MEMS関連センター
参加費 :無料、但し交流会はMEMS PC会員は一口まで無料、非会員:\3,000
申込不要、当日直接参加可
問合先 : MEMSパークコンソーシアム事務局 
TEL:022-795-4263  FAX:022-795-6259、E-mail memspc@mems.mech.tohoku.ac.jp




 本項は、マイクロマシン/MEMSを取り巻く経済・政策動向のトピックを、いろいろな観点からとらえて発信しています。
1.09年度の企業物価、過去最大の5.2%下落
 日銀は、4月13日、09年度の国内企業物価指数(速報)を発表しました。
 それによりますと、09年度の国内企業物価は前年に比べて5.2%下落しました。下落したのは6年ぶりとなります。また、下落率は、プラザ合意後の急激な円高の下で影響を受けた86年度と並び過去最大となりました。
 下落率が特に大きいのは、石油・石炭製品の▲23%、鉄鋼の▲16%、非鉄金属の▲12%、電力・都市ガス・水道の▲10%などとなっています。
 また、3月の国内企業物価は、前年同月比でマイナス1.3%と依然として前年同月比ではマイナスが続いています。ただ、下落率は09年8月の▲8.5%を底として、その幅を減少させています。
 参考:http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/cgpi/cgpi1003.pdf

2.月例経済報告(4月16日)
 内閣府は、4月16日、月例経済報告を発表しました。
 4月の月例経済報告では景気の基調判断について、「景気は、着実に持ち直してきているが、なお自律性が弱く、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある。
先行きについては、当面、雇用情勢に厳しさが残るものの、企業収益の改善が続く中で、海外経済の改善や緊急経済対策を始めとする政策の効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待される。
一方、海外経済の下振れ懸念、デフレの影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。また、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である」としています。
3月の報告では、景気の基調判断を8カ月ぶりに上方修正しましたが、4月の報告では3月の基調判断を引きついたものとなっています。
政府は、家計の支援により、個人消費を拡大するとともに、新たな分野で産業と雇用を生み出し、日本経済を自律的な回復軌道に乗せ、内需を中心とした安定的な経済成長を実現するよう政策運営を行う。このため、「明日の安心と成長のための緊急経済対策」を推進し、今般成立した平成22年度予算を着実に実行する。あわせて、「新成長戦略(基本方針)」の具体化を行い、その実現を図るとしています。
政府は、日本銀行と一体となって、強力かつ総合的な取り組みを行い、デフレの克服、景気回復を確実なものにしていくよう、政策努力を重ねていくとしています。
 参考:http://www5.cao.go.jp/keizai3/2010/0416getsurei/main.pdf


3.我が国の2008年度の温室効果ガス排出量、前年度に比べて6.4%減
 環境省は、4月15日、2008年度(平成20年度)の温室効果ガス排出量(確定値)を取りまとめました。
 それによりますと、2008年度の温室効果ガスの総排出量は、12,8億トンでした。これは、京都議定書の規定による基準年(CO2等は1990年、フロン等は1995年)の総排出量に比べると、1.6%上回っている水準となります。ただ、京都議定書に基づく森林等の吸収量は44百万トンですので、これは基準年総排出量の3.5%に相当する量であり、これを参入すれば京都議定書目標を達成していると言えます。
 2008年度の排出量は前年の2007年度と比べますと6.4%減少しています。前年度からの減少率を部門別に見ますと、産業部門では▲10.4%の減少、運輸部門で▲4.1%、業務部門で▲3.3%の減少、家庭部門で▲4.9%の減少となっています。
 京都議定書の基準年比では、産業部門が▲13.2%の減少、運輸部門では8.3%の増、業務部門では43%の増、家庭部門で34%の増となっています。
 参考:http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=15528&hou_id=12390

4.「次世代自動車戦略2010」の公表
 経済産業省は、4月12日、「次世代自動車戦略2010」を公表しました。
 この報告書は、自動車や関連産業等に関する新たな戦略構築すべく「次世代自動車戦略研究会」での検討を踏まえて公表されたものです。
 報告書では、以下の6つの戦略が必要としています。すなわち、①日本を次世代自動車開発・生産拠点に②世界最先端の電池研究開発・技術確保③レアメタル確保+資源循環システム構築④普通充電器200万基、急速充電器5千基⑤車をシステム(スマートグリッド等)で輸出⑥日本主導による戦略的国際標準化の6つです。
 対策を行うことにより、2020年において新車販売台数に占める先進環境対策車の割合を、積極的な政策支援を前提として、政府として80%を目標としています。
 参考:http://www.meti.go.jp/press/20100412002/20100412002-2.pdf

5.経済産業省、「エネルギー基本計画(案)」をまとめる
 経済産業省は、国のエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画(案)」を取りまとめ、4月19日開催された総合資源エネルギー調査会・総合部会基本得企画委員会に提示しました。
 主な内容は、以下の通りです。
① 家庭部門で排出するCO2を2030年までに半減する(スマートメーターの普及等)。
② 化石燃料の自主開発資源比率を2030年に約50%以上とする(現状約26%)
③ 「戦略レアメタル」(レアアース、リチウム、タングステン等)について、リサイクルによる供給源確保(都市鉱山)や代替材料開発も加味した上で自給率を2030年に50%以上とする
④ 自主エネルギー比率(国産エネルギー+原子力+自主開発権益からの資源調達)を約70%(現状38%)とする
 参考:http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004657/pubcomm100419a.pdf

6.21年度の貿易収支、2年ぶりプラスへ
 財務省は、4月22日、平成21年度の貿易統計(速報)を発表しました。
 21年度の貿易収支は5.2兆円の黒字でした。昨年は約8千億円の赤字でしたので2年ぶりの黒字となります。輸出額は59兆円で前年度比▲17%の減、輸入額は53.8兆円で▲25%の減となっています。輸入額・輸出額とも2年連続の減少です。
 輸出先の1位は中国で11.3兆円です。中国は米国を抜いて初めて1位となりました。2位は米国の9.3兆円、EU向けは7兆円です。また、輸入先の1位も中国で11.8兆円の輸入となります。
 参考:http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/gaiyo2009_04-2010_03.pdf

7.IMFの今年の世界経済の予測、4.2%に上方修正
 IMF(国際通貨基金)は、4月21日、最新の世界経済の見通しを発表しました。
 それによりますと、2010年の世界経済の実質成長率の伸びを前回発表の1月から0.3%上方修正し4.2%としました。11年の成長見通しは4.3%でこの値は変えませんでした。
 日本の成長見通しは1.9%であり前回から0.2%上方修正しました。この他、米国が3.1%(+0.4%)、ユーロ圏が1.0%(変わらず)、中国が10.0%(変わらず)となっています。前回1月からの修正率が大きいのは、インドが8.8%(+1.1%)、ブラジルの5.5%(+0.8%)、中東欧が2.8%(+0.8%)、ASEAN5(インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム)が5.4%(+0.7%)などとなっています。
 参考:http://www.imf.org/external/pubs/ft/survey/so/2010/RES042110A.htm

8.模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)の条文案の公表
 経済産業省は、4月22日、模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)の第8回交渉会合において交渉中の条文案を各国から公表することに合意しました。
 交渉参加国は、日本、米国、EU、スイス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、シンガポール、メキシコ、モロッコの11カ国です。
 条文案の概要は以下の通りです。
① 知的財産権の侵害物品の輸出入の税関での取り締まりについて規定
② 知的財産権侵害に対して適用される刑事手続きを規定
③ インターネット上の著作権保護について特別に規定
④ 知的財産権に対して権利者が行使できる任じ手続きを規定
なお、交渉参加国は、2010年の可能な限り早期の交渉妥結を目財しています。
 参考:http://www.meti.go.jp/press/20100422001/20100422001-3.pdf

9.「消費者の購買に関するニーズの動向調査」の結果発表について
 経済産業省は、4月21日、「消費者の購買に関するニーズの動向調査」の結果を発表しました。その概要は以下の通りです。
① 日本の消費者の優先事項は、「信頼」「安心」であり、「低価格」よりも優先順位が高い
② お金の使い道は、従来の典型的な商品支出ではなく、「趣味」「食事」「旅行」「本・雑誌」といった生活を楽しむものにお金を使いたいという傾向
③ ものづくりよりも、「連絡すると、修理・交換・設置に来てくれる」「お客様相談窓口の設置」といたサービスを重視
④ 消費者にとって信頼できる情報源としては、「口コミサイト」が圧倒的に大きい
⑤ 消費者の流通チャネルが構造的に変化している。例えば、ネットショッピングの利用率が高くなっており、また、消費者の自由時間が、午後9時~深夜1時の時間帯に集中している

 参考:http://www.meti.go.jp/press/20100421002/20100421002-1.pdf






1 人事異動

○経済産業省(関係先部分)
  平成22年5月1日付
(氏 名)        (新)                      (旧)  
信末 直人   産業技術環境局環境政策課環境指導室  製造産業局産業機械課技術班
                                     技術係

鈴木慎一郎   製造産業局産業機械課技術班       経済産業政策局地域技術課     
            技術係 

浅野 由香   原子力安全・保安院ガス安全課       産業技術環境局研究開発課
          ガス保安専門職                研究開発専門職

榎本 哲志   産業技術環境局研究開発課        製造産業局産業機械課
          研究開発専門職                精密機械第二係長

2  財団法人マイクロマシンセンター理事会・評議員会の開催(予定)

平成22年6月29日(火)に、決算関係等の議題を審議します「平成22年度第1回通常理事会」及び「平成22年度第1回評議員会」の開催を予定しております。詳細は次号にてお知らせ致しますのでよろしくお願い致します。
 

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